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日本人のルーツを求めて!? 旅の運気が爆上がりの島で湖畔車中泊【すみません、ボクら、迷子でしょうか?:第5話】

無人島のような島の湖のほとりで車中泊

島に舗装道路はなかった。太めの轍が交差しながら伸びていた。

ロシア人は轍が嫌いなのか協調性がないのか、先人のルートからはずれて勝手気ままに走っていて、至るところで線が錯綜していた。ということは、どこを走ってもいいのだ。オフシーズンなので観光客の姿はないから、無人島を探検しているようなものである。

湖に向かえば、柵はないから、崖から落ちるその瞬間まで爆走できる。転落しても目撃者がいるとは思えず、10年くらい発見されないに違いない。意味もなくウホホホホホと叫びながら、テキトーに右へ左へハンドルを切っていたら、砂にハマって埋もれてしまった。4WDのスイッチを押して、腰をフリフリ脱出したが、地味に死ぬかと思った。

林の轍は凸凹だらけ。途中で進めなくなった

その夜。湖のほとりで、車中泊をした。本当は崖っぷちに陣を張り、対岸の山々を眺めながら寝たかったが、諸般の事情が許さなかったのである。

恥ずかしながら頻尿なのです、すみません。どんな無人島であろうと、便所から半径50メートルが筆者の生存圏なのである。

切ない告白は置いといて、その夜の便所小屋はすごかった。どこがどうすごいのか香り立つほど詳しく説明したい。しかし、毎号毎号憚りの話をするのは憚れるので、拙著『今夜世界が終わったとしても、ここにはお知らせが来そうにない。』(WAVE出版)を読んでいただきたい。

右側が便所小屋。不用意に近寄らぬこと。
命こそ奪われないが、人間としての尊厳を失う

寄り道をしていたら、冬将軍に追いつかれた

オリホン島のハイライト、寺院岩と呼ばれる断崖にたどり着いた。海に突き出ている、さほど大きくない岩山が通称「シャーマン岩」。オリホン島のシャーマンは人ではなくて岩だったのである。

蝋燭もお線香もお花もお供物もないが、パワースポットに違いない

え、岩? じゃ、誰も唄ったり願いごとを聞いてくれないの?

と誰かに訊こうにもあいかわず無人島。しかたがないので、色とりどりの布が巻き付けられた霊験あらたかそうな13本の柱に両手を合わせ、ふたつの願いごとを捧げた。

1.エンジン警告灯を消してください
2.今年は雪のない冬でお願いします
フジル村で給油して、島を後にしたのである。

そんなこんなの寄り道をして喜んでいる場合ではなかった。クラシノヤルスク郊外で、冬将軍に追いつかれてしまったではないか!

突然降り出した雪はワイパーが間に合わないほど勢いを増し、前は見えなくなるわ、ブレーキを踏むと滑るわで、命からがら路肩に緊急避難した。1メートルも進めなくなり、峠のてっぺんで、雪に埋もれ始めたのである。

みるみるうちに雪が積もり始めた

こんなところでビバークすれば、来年の春まで発見されそうにない。旅どころか、人生の最終回を迎えかねない大ピンチである。(第6話へ続く)

■著者プロフィール、これまでの話、話の続きは、こちら

『今夜世界が終わったとしても、ここにはお知らせが来そうにない。』(WAVE出版)

2023年1月19日発売。海外車中泊旅で起こる数々の事件を、軽妙洒脱な文章で綴った旅の記録。

リモートワークをしながら世界中を旅する夫婦が、楽園(移住先)を探すため、日本で買った軽自動車で南アフリカに向かうも…。

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