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モンゴルの大草原で車中泊。吹雪の中、マイナス50度になる極寒の地で【すみません、ボクら、迷子でしょうか?:第4話】

話題作『今夜世界が終わったとしても、ここにはお知らせが来そうにない。』(WAVE出版)の著者が、“車と旅”の海外版について語る新連載エッセイ。

“楽園を探す海外放浪夫婦が、中古の軽自動車を買って北海道から南アフリカへ。

警察官の賄賂を断ってジャングルに連れ込まれ、国境の地雷地帯で怯え、貧民街に迷い込み、独裁国家、未承認国、悪の枢軸国、誰も知らないような小さな国々へ。

南アフリカ・ケープ半島の突端「喜望峰」で折り返して日本に戻ってくる予定が……。”

【第4話】よく「どうして軽自動車で?」と、訊かれるが…

このあたりで車中泊をしたい。けど、どっからでもクマが出てきそうな雰囲気だ

車中泊をしながら、ロシアをドライブしている。

目的地は、南アフリカのケープタウンだ。地図を指で辿ったところ、2万km以上。行って帰るとなると、誤差を考慮して6万kmにもおよぶ。地球一周半も運転するかと思うと、気が遠くなった(実際のところ、喜望峰に着いたら7万kmも走っていた。誤差の方が大きい)。

よく、「どうして軽自動車で?」と訊かれる。いい質問である。

「及ばざるは過ぎたるより云々」と家康公の言葉を借りながら、われわれ現代人は足りないくらいがちょうどいいのです。モノにしても機能にしても足りないからこそ頭を使うのです、なんちゃらかんちゃらと、シンプルライフの教祖様のようなことを言っている。

だが、本当は「軽自動車が660ccとは知らなかった」だけ。納車されたとき、こんな車で南アフリカへ行けるんですか!? と僕が驚いていた。

南アフリカに向かっているはずの愛車「Chin号!」

ボディを触ってみたら頼りないことこの上なく、ヒグマに襲われたら車ごと齧(かじ)られそうである。密かに楽しみにしていた森のなかの「ロマンチック車中泊」は、諦めることにした。

サハリン島では、寒村の駐車場で息を潜めたり、巨大な廃工場に閉じ込められたり、辺境の雑貨店にぴたりと寄り添って壁のフリをして寝ていた。

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